行政書士はじめの一歩<開業10のポイント>
その3事業を考える上で一番大事なこと
悩みの多い行政書士の開業。
何を知っておけばいいのだろうと、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いはずです。
そこで、独立開業する行政書士に必要な事業経営とマーケティングの10のポイントをお話して行きます。
第3回目では、事業の考え方についてイメージして行きましょう。
事業を考える上で一番大事なこと
行政書士になる方の共通点として、社会貢献をしたいという気持ちが強いことが挙げられるでしょう。
人のためになりたい、社会を良くして行きたい、その気持ちはとても大切なのですが、もっと具体的に「誰のために」なって「どんな社会に」したいのか。
そのために「今自分が出来ることは何か」考え、それを事業にする必要があります。
それでは、事業とは何でしょうか?
事業とは、「生産・営利などの一定の目的を持って継続的に、組織・会社・商店などを経営する仕事」のことで、これを個人で行う場合を「個人事業」と呼び、その事業を行う個人のことを「個人事業主」と言います。行政書士として個人で開業する場合は、この個人事業主にあたります。
「なぜ」行政書士として生きて行きたいのか?
実はこれが一番大切です!
事業を始める場合、「なぜ」それをしたいのかがとても重要になります。あなたは「なぜ」行政書士になりたいのですか?
この「なぜ」が明確になっていないと、売上がなかなか上がらない時期に、事業を継続することが難しくなるかもしれません。
自分自身が事業の意義を分かっていなければ、軸がぶれた経営になりがちですし、お客様から見ても何を専門としているのか分からず、安心して依頼出来ないと感じられてしまうでしょう。
人を動かす「WHY」
サイモン・シネックが提唱するゴールデンサークルというフレームがあります。
これによると、人は「What 何を(売るのか)」ではなく「Why なぜ(売るのか)」に心を動かされると言います。
例えば、PCを売りたい場合、What⇒How⇒Whyで伝えると次のようになります。
我々のコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで簡単に使え、親しみやすい商品です。ひとつ買いませんか?
これを逆にWhy⇒How⇒Whatで伝えると次のようになります。
我々のすることはすべて、世界を変えるという信念で行っています。違う考え方(Think Different)に価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ簡単に使え、親しみやすい製品です。こうして素晴らしいコンピュータができあがりました。
はじめに「Why」にあたるビジョンを伝えます。
人々はこれに共感するからこそ、その商品を手に取る。これが「Why」からはじまるストーリーなのです。
この「Why」は、人々だけでなく、提供する自分の心をも動かします。
企業理念、経営理念が大切と言われているのも、同じ理由からでしょう。
事業を始める前に、必ず次のことをしっかりと考えてください。
- あなたは誰を助けたいですか?
- あなたはどんな喜びが欲しいですか?
- あなたにとって幸せとは何ですか?
- あなたは仕事で何を達成したいですか?
事業を開始してからも時々自分に問いかけることで、あなたの「想い」を確認することをお勧めします。
自分自身の想いを明確にし、ビジョンを示せる行政書士になることで、「あなたに頼みたい!」とお客様から言っていただけるようになるはずです。
私は今、遺言書の作成業務に追われていますが、この業務を始めたきっかけは、父の突然死と、それを機に母が要介護になったことです。
原因不明で亡くなる人が7人に1人という時代の中で、まさに自分自身が70代の父を突然亡くすことになりましたし、認知症や介護の問題が、今は常に隣りにあります。
遺言書には出来ることがたくさんあり、それによって争い事や心配事を防ぐことができる。
そしてそれは、認知症になってからでは遅いのです。
そう気づいた時に、どうしてもそれを伝えたいと思いました。
この想いがあるからこそ、遺言書の依頼をいただいていることは間違いないでしょう。
明日は「強みを生かす方法」というタイトルで、自分の強みの生かし方についてお話します。