行政書士はじめの一歩<開業の10のポイント>
その7マーケティングの4Pを考えよう
悩みの多い行政書士の開業。
何を知っておけばいいのだろうと、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いはずです。
そこで、独立開業する行政書士に必要な事業経営とマーケティングの10のポイントをお話して行きます。
第7回では、マーケティングの4Pについてイメージして行きましょう。
行政書士の4Pを考えよう
マーケティングの4Pとは、商品(Product)、価格(Price)、場所・チャネル(Place)、販売促進(Promotion)という4つのマーケティング・ツールを活用し、標的顧客(市場)に受け入れられる組み合わせを検討し、戦略的に販売強化を図ろうとする考え方です。
これらを効果的に組み合わせることで、戦略的に売り上げに繋げて行きたいものです。
仕事が取れない原因の1つに「売っている商品・サービスがない」ことが考えられます。
行政書士と言われても、大半の人は何をしている人なのか知りません。
あなたが何を売っているのかが分からないと、お客様は買うことができないのです。
つまり、商品・サービスを作り、それを知ってもらうことが、仕事の依頼につながるのです。
お客様に自分の商品・サービスを買ってほしいなら、当然のことながら、まずは商品・サービスを作ることが必要です。
実はこの商品・サービスが作れていない行政書士がとても多いのです。
例えば、相続手続きを専門業務にするとします。
この時、「うちの事務所は相続手続きをします」と言っても、お客様にとっては何をしてくれるのか、はっきりとは分からないのです。
「相続手続き」が何か分からない人はたくさんいます。
さらには、「相続」と聞いて人が亡くなる際に発生するものとすぐには理解できない人もたくさんいるのです。
また、他にも相続手続きを専門業務に掲げている行政書士もいますし、他と比べて何が違うのかも分かりません。
これでは、商品・サービスがあるとは言えません。
暑い日に喉が乾いている人に対し、「このペットボトルの冷たいお茶は100円ですよ!」と差し出したらどうでしょうか。
「ちょうど欲しかった!安い!」と、買ってくれるお客様はいるはずです。
これくらいのタイミング(欲しい時に差し出す)と具体性(ペットボトルの中に入った冷たいお茶で、平均的な価格より安い100円で手に入るもの)が、商品・サービスには必要なのです。
これが、売れる商品・サービスを持っているという状態です。
では、相続手続きが今まさに必要という人にタイミング良く会うためにはどうしたらいいのか、ちょっと想像してみてください。
例えば、突然父親が亡くなってしまい、銀行でお金が下ろせなくなってしまった人が、困ってインターネットでどうしたらいいか調べているとします。
この時、自分の事務所に依頼をしてもらうためにはどうしたいいのか。
まずは、インターネット上に自分の事務所のホームページを持つ必要があります。
ホームページがなければ、インターネットで探している人に、自分の事務所を見つけてもらうことはまずありません。
せっかくホームページがあっても、手続きの手順や料金が載っていなかったり、問合せ先が分かりにくかったりすると、依頼にはつながりにくいでしょう。
自分の事務所に相続手続きを依頼するとどうなるのか、いくらなのか、他とは何が違うのか、具体的に提示できるようにしましょう。
ホームページの中で表示するのはもちろん、パンフレットを作り、一目で分かる状態にしておくのもお勧めです。
自分だけが分かる仕事の流れではなく、お客様に分かってもらえる流れを作りましょう。
やってみたい業務、専門にしたい業務が決まったら、4Pについてもしっかりと考えて行きましょう。
相続手続きの4P
(1)商品(Product)
- 無料セミナー
- 遺産分割協議書の作成
- 相続人の調査、相続財産の調査
- 名義変更手続き(銀行口座、自動車、保険等)
- 司法書士、税理士、弁護士の紹介
(2)価格(Price)
- それぞれの手続きの単価設定
- パッケージとしての金額
- 値引きの設定
(3)場所とチャネル(Place)
- 事務所の場所
- 依頼者宅への訪問
- 提携先からの紹介
(4)販売促進(Promotion)
- Webサイト(ホームページ)
- 広告、チラシ、テレビコマーシャル
- セミナー
- 口コミ
次回はいよいよ、ターゲットについて考えて行きます。