はじめの一歩

行政書士はじめの一歩<開業10のポイント> その8ターゲットを決めよう

講座時間
6:02

行政書士はじめの一歩<開業10のポイント>
その8ターゲットを決めよう

悩みの多い行政書士の開業。
何を知っておけばいいのだろうと、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いはずです。
そこで、独立開業する行政書士に必要な事業経営とマーケティングの10のポイントをお話して行きます。
第8回目では、ターゲットについてイメージして行きましょう。

ターゲットを考えよう!

ターゲットとは、ある商品、サービスの対象とした人や特定購入者層のことです。
ターゲットを絞ることは、事業を考える上でとても重要だと考えられています。
ターゲットを絞ることで具体的な商品、サービスを考えることが出来ますし、どんな人をお客様にしたいかを設定した上で商品、サービスを考えることで、自分の理想のお客様を引き寄せることが出来るのです。

例えば、「あなたの老後の悩みを思いやりで解決します」という言葉より、「残された家族の争続を防ぎたい定年間近のお父さん!元気なうちに遺言書を書いておきませんか?」と、具体的なターゲットを示す言葉が入っている方が、対象となっている人の心を掴むものです。

そんなに絞ってしまうと、定年間近ではない高齢者や女性という、たくさんのお客様を逃してしまうのではないか。
そんな不安もあるかもしれませんが、マーケティングでは「捨てる勇気」も必要になって来るということを忘れないでください。

大切なのは、誰にも響かない言葉を使うのではなく、特定の誰かに響く言葉を使うということです。
これにより、想定外のお客様を獲得する場合もあるのです。

例に挙げた「定年間近のお父さん」をターゲットにした場合、定年間近のお父さんを持つ息子や娘、定年間近の夫を持つ妻の心を掴み、問合せへとつながるケースもあります。
このように、ターゲットを絞ったことにより、捨てたはずの対象者の目を引く例は、実はよくあるケースなのです。

また、ターゲットを絞ることで、商品、サービスがより具体的になるという効果もあります。

例えば「定年間近のお父さん」をターゲットにすることで、「60歳からの遺言講座」のような具体的なタイトルをつけて講座を開催することが出来ます。
講座の中でも「60歳だからこそ考えておきたいこと」を具体的にお話することが出来るでしょう。
これにより、講座の参加者に商品・サービス(ここでは遺言書作成業務)を買ってもらうことへも繋げやすくなるはずです。
これは、ターゲットを絞ったからこそ出来る流れなのです。

さて、このターゲットですが、次のように絞ってみるといいでしょう。

 

ターゲットの絞り方

まず、自分の今までの人生を振り返り、あるいは、行政書士を目指すキッカケを振り返り、自分がどうなりたいのかを出来るだけ具体的なビジョンを思い浮かべてください。
そうすると、誰を助けたいのかが浮かんでくるのではないでしょうか。

高齢化社会だから、高齢者をターゲットにしたら売上が伸びるのではないか、儲かるのではないかという考え方では、想いの継続は難しいでしょう。

自分の親の介護が大変な上、相続の時にもめたから、元気な内に相続が発生した時のことを考えてもらいたい。
そのキッカケを作ることで、家族の争いごとを予防したい。
そんな流れで考えた事業は、具体的なアイデアも浮かびやすく、ターゲットも決めやすいでしょう。
想いもしっかりしていますから、自分自身の軸も定まり、ターゲットにも伝わりやすくなるはずです。

そしてもう1つ、ターゲットを決める時に考えて欲しいことがあります。

あなたが今、助けられる人は誰ですか?

実はこれ、とても大切な質問です。
助けたい人と助けられる人は、もしかしたら違うかもしれません。
事業として早く成り立つのは、助けられる人を助ける方でしょう。
出来ることからやる。これです。

今すぐに自分が助けられる人は誰なのか?これを把握出来れば、お客様を探すのがラクになるはずです。

自分が助けたい人を助けられるような人になることと、今すぐ助けられる人を助けてあげる方法を考えること。
この2つに着目することで、ターゲットは明確になります。そして、具体的な事業も決まって来ると思います。
時間をかけてしっかり考えてみてください。

私も時々この質問に答える時間を作っています。
時間が経つことで質問の答えも変わって来るからです。
父の死や母の介護がなければ、ここまで遺言書や相続の仕事に興味を持てなかったでしょうし、お客様の心に響くご提案もできなかったはずです。

次回は、あなたの商品・サービスを購入したお客様が手に入れる「ベネフィット」について考えて行きます。